Dify vs n8n:AIワークフロー構築ツールの違いをフリーランス目線で比較

自動化・ノーコード

DifyとN8nの比較記事を読んだことがある人は感じているはずだが、たいていの記事は「Difyはこんな機能、n8nはこんな機能、組み合わせると最強です」で終わる。

そこで止まると判断できない。

どちらか一方を選ぶなら、結局何が違うのか。フリーランスの僕が両方を数ヶ月使って出した結論を書く。

この記事でわかること

  • DifyとN8nが「何をするツール」なのかの根本的な違い
  • フリーランスが選ぶべき判断基準(用途別)
  • 両方使ってみてわかった、競合記事に書かれていないリアルな話
AI workflow automation tools comparison
Photo by Jo Lin on Unsplash

DifyとN8nは「何をするツール」なのか、まず整理する

最初に整理しておきたいのが「役割の違い」だ。

Difyは「AIアプリを作る」ツール

は、LLMを使ったアプリケーション——チャットボット・AIエージェント・RAGパイプライン——を作るためのプラットフォームだ。「Claudeや GPTをバックエンドにしたカスタムアプリを作りたい」という用途に特化している。

要するに、AIに何かをやらせる「アプリ自体」を構築するのがDifyの仕事だ。

UIはブラウザ上で完結し、ノードをつなぐビジュアルな画面でワークフローを設計できる。コードなしでチャットボットが動く——というのは確かで、実際に試してみると30分〜1時間程度でAIチャットボットのデモは動く(Dify公式サイトではSandboxプランで無料体験ができる)。

ただ、Difyで「GmailとSlackをつなぐ」ような業務自動化はできない。そういう用途じゃない。

n8nは「業務フローをつなぐ」ツール

は「ノードとノードをつなぐ」ことで業務フローを自動化するツールだ。GmailのTriggerをn8nが受け取ってSlackに通知を飛ばす、Webhookを受けてNotionにデータを書き込む——そういう「SaaS間をつなぐ自動化ハブ」として機能する。

連携できるサービスの数が1,000以上。Gmail・Slack・Notion・Google Drive・Airtable・Shopify・各種Webhook——ほとんどの業務ツールがノードとして存在する。

セルフホスト版は無料(VPS代月800〜1,500円程度が別途かかるが)。クラウド版は月20€〜(n8n公式サイトで最新料金を確認できる)。

ちなみに、n8nで「AIチャットボットを作る」こともできるにはできる。AI Agentノードという機能がある。ただ、LLMを使い込んだアプリを作るという用途だとDifyの方が機能が揃っている。


フリーランスが実際に使って感じた違い5つ

1. 学習コスト:Difyは早いが深みが狭い

Difyは直感的だ。ビジュアルなフロー設計画面で、ノードをクリックしてLLMを設定すれば動く。最初のAIチャットボットが動くまで、慣れれば1〜2日かからない。

ただ、「これ以上のことをしたくなったとき」に壁がある。特にGmail・Slack等の外部サービスとDifyを繋ごうとすると、Difyにはそもそもそういうノードが少ない。「Gmailの受信をトリガーにしてDifyのAIが処理する」ような連携は、n8n側に頼ることになる。

n8nの学習コストは少し高い。1,000以上のノードがあって最初は迷子になる。ただ、Gmail・Slack・Webhookなどよく使うノードは同じ操作感なので、3〜4本ワークフローを作ればだいたい掴める。

2. 連携の幅:n8nの方が圧倒的に広い

フリーランスの日常業務——「クライアントからのメールをSlackに飛ばしたい」「フォーム回答をGoogleスプレッドシートに転記したい」「Webhookで請求書データを受け取ってNotionに記録したい」——これは全部n8nの仕事だ。

Difyではできない。

GmailやSlackという日常ツールと繋ぐなら、n8nかMake・Zapierが選択肢になる。Difyを選ぶ理由がない。

3. AIの活用度合い:DifyはLLMを使い込める

「AIに文章を生成させたい」「社内ドキュメントをRAGで検索できるチャットボットを作りたい」「LLMが判断して複数のAPIを呼び出すエージェントを組みたい」——これはDifyの得意領域だ。

n8nにもAI Agentノードはある。OpenAI・Anthropic・Gemini等を呼べる。ただ、DifyのRAGパイプラインやMCP統合のような「AIを使い込む」機能は、Difyの方が充実している。

4. セルフホスト・料金:どちらも無料でいける

両方ともオープンソース・セルフホスト可。

  • n8n:セルフホストは完全無料。VPS代月800〜1,500円程度で実行数無制限
  • Dify:クラウド版のSandboxプランは月200メッセージクレジット・無料。セルフホストも可能

どちらも「試しに使う」は無料で始められる。本格運用するとn8nはVPS代のみ、DifyはProfessionalプランが月$59〜。フリーランスがDifyに月$59を払うなら、相当AIアプリ開発に軸足を置いている必要がある。

5. 向いているユースケースが完全に違う

結局ここが一番大事だ。

用途 DifyかN8nか
AIチャットボットを作りたい Dify
RAGで社内文書検索アプリを作りたい Dify
LLMエージェントを構築したい Dify
GmailやSlackを自動化したい n8n
フォームデータをスプレッドシートに転記 n8n
Webhookで受け取ったデータを複数サービスに転送 n8n
AIを使いつつ業務フローも自動化したい 両方(連携させる)
Dify vs n8n use cases diagram
Photo by kenny cheng on Unsplash

「Difyを使う」と決める判断基準

以下のどれかに当てはまるなら、Difyを選ぶ理由がある。

  • 社内向けAIチャットボットや問い合わせ対応ボットを作りたい
  • 自分専用のRAGベースの情報検索アプリを作りたい
  • LLMに「考えながら動く」エージェントを構築したい
  • コードを書かずにAIアプリをデモとして見せたい

ただし、GmailやSlackなど既存の業務ツールとの連携が主目的なら、Difyは適していない。外部SaaS連携はn8nに任せてDifyはAI処理に集中させるのが現実的な使い方だ。


「n8nを使う」と決める判断基準

以下のどれかに当てはまるなら、n8nを選ぶ理由がある。

  • GmailやSlackなど日常業務ツールの自動化がメイン
  • 月のランニングコストを最小に抑えたい(セルフホストならVPS代のみ)
  • 複数のSaaSを繋いだデータ連携・自動転記がしたい
  • プログラミングは避けたいが、ある程度の設定は苦ではない

AIを活用したいならAI Agentノードも使える。ただ、DifyのようにガッツリとしたAIアプリを作るのは向いていない。


初めてDifyを触ったとき、僕が思い違いをしていたこと

少し踏み込んで書く。

Difyを最初に試したとき、「これでGmailのメールをAIが仕分けしてくれるやつが作れるんだ」と思っていた。結果から言うと、それは見当違いだった。

DifyにはGmailのノードがない。SlackのノードもNotionのノードも、基本的にはない。Difyの画面を1時間以上触って「あれ、外部ツールとの連携ってどこ?」となって調べて、ようやく理解した。Difyは「LLMを使ったアプリを作るツール」であって、「業務を自動化するハブ」ではない。役割が違う。

その後、同じ連携をn8nで15分で作った。GmailのTriggerノードをセットして、OpenAI APIのノードで分類させて、Slackのアクションノードで通知——それだけ。

この体験があってから、Difyは「AIアプリ開発」、n8nは「業務自動化」と頭の中で完全に別のカテゴリに分けた。両方を試していなかったらずっと混同していたと思う。


料金で比較すると、フリーランスには何が現実的か

費用の話も整理しておく。

Difyのクラウド版Sandboxプランは無料だが、月200メッセージクレジットの制限がある。本格的に使い込むならProfessionalプランが月$59(年払いで$49/月相当)。フリーランスとしてDifyに月$59を払うなら、それ相応のAIアプリを作って収益に繋げる目線が必要だ。

n8nのセルフホストは無料。VPS(さくらVPSのスタンダードプラン等)を使えば月800〜1,500円程度で実行数無制限で動かせる。クラウド版を使うなら月20€〜(年払い)。n8nの具体的な料金比較はn8n vs Zapier 料金比較の記事で詳しく書いたので参考にしてほしい。

で、現実的にはという話だが、僕はn8nをセルフホストで月4本のワークフローを動かしていて、月のコストはVPS代800円程度だ(他のサービスとサーバーを共用している)。DifyはSandboxの無料プランで使っている。

フリーランスが「料金コストを最小化しながら自動化・AI活用したい」という優先順位なら、n8nセルフホスト + Dify無料プランの組み合わせが一番現実的な入り口だと思う。Difyの料金プラン詳細は公式の価格ページで確認できる(2026年4月時点の情報)。


両方使う、という選択肢もある

実は「n8n + Dify」という連携スタックを使うパターンも増えている。

例えば、n8nがGmailのメールを受け取って、Difyが用意したAIにそのメールを渡して要約・分類させて、n8nがSlackに結果を投げる——というようなフロー。「業務の入出力はn8n、AIの処理はDify」という役割分担だ。

フリーランスがここまで組むには少し学習コストがかかるが、両方の強みを活かせる。ただし、「まずどちらかを使いこなす」のが先だ。両方同時に始めると方向性がブレる。


Difyのここが惜しかった、n8nのここが面倒だった

フェアに書くなら、それぞれの「惜しいところ」も書いておきたい。

Difyで惜しかったこと:

外部SaaS連携が弱い、というのは前述した通り。それ以外に感じたのは「デプロイのハードルが意外と高い」という点だ。Difyで作ったAIアプリを「外部に公開する」には、Difyのクラウド版かセルフホストが必要で、セルフホストはDockerの知識が要る。「ブラウザでノーコードで作れる」のは本当だが、「外部に公開してクライアントに使ってもらう」となると途端にハードルが上がる。

あと、Sandboxの無料プランは月200クレジットしかない。開発中のテスト実行で消費するので、本格的な開発をするとすぐ上限になる。

n8nで面倒だったこと:

セルフホストのセットアップが最初は時間がかかる。NginxのリバースプロキシとSSL証明書の設定で、初回は半日詰まった(詳しくはn8nセルフホストの記事に書いた)。

ノードの数が多すぎて、「このSaaSはどのノードを使うのか」を探す時間が地味にかかる。慣れれば検索一発で出てくるが、最初の数本は「あのノードはどこ?」と探し回る時間が発生する。

あと、n8nはエラーのデバッグが少し難しい。実行ログを辿れるのは良いが、「このステップで失敗した原因が何か」をピンポイントで把握するまでに学習コストがある。

どちらも「惜しいところ」はある。それを踏まえた上で、自分の用途に合っている方を選ぶのが正解だ。


まとめ:フリーランスには結局どっちが向いているか

正直なところ、「フリーランスが最初に入るなら n8n」だと思っている。

理由は単純で、Gmail・Slack・Webhook・スプレッドシートなど、日常業務と繋がっているツールが多いから。業務効率化という目的でツールを選ぶなら、n8nの方が「すぐに効果が出る」場面が多い。

Difyを選ぶのは「AIアプリ開発に集中したい」というときだ。クライアントに見せるプロトタイプを作る、自分専用のAIツールを組む——そういう用途に絞れば、Difyは強力だ。

まあ、どちらも無料から試せる。最初の1〜2本は実際に手を動かして確かめるのが一番早い。


合わせて読みたい
Difyの使い方入門:ノーコードでAIチャットボットを作る最初の一歩
n8n の使い方入門:インストールから最初のワークフロー作成まで図解

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