n8nを使っているフリーランスが、Activepiecesというセルフホスト型自動化ツールを触ってみた話を書く。結論から言うと、n8nを捨てるつもりはないけど、選択肢として知っておいて損はなかった。
Activepiecesは日本語の情報がほぼない。2023年に書かれた紹介記事が数本あるだけで、実際にセルフホストして使ってみた体験談がない。だから書く。
この記事でわかること:
- Activepiecesのセルフホスト手順(Dockerで動かすまで)
- n8nと比べて何が違うか
- 向いているケース・向いていないケース

Activepiecesを知ったきっかけ
n8nに不満があったわけじゃない。正直、今のセルフホストn8n環境は安定していて、Slack通知・Gmail仕分け・Webhook処理・Googleカレンダー連携の4本が普通に動いている。月800円のVPS代で運用できているし、満足はしている。
きっかけは、自動化ツールのコミュニティで「MITライセンスでフルオープンソースの自動化ツール」という話題を見かけたこと。n8nはフェアコードライセンスで、商用サービスとして提供する場合に制限があったりする。個人利用では関係ないんだけど、n8nの代替候補として名前が上がっていた。
まあ、試してみればわかる。というわけでセルフホストしてみた。
セルフホストのインストール手順(Dockerで動かすまで)
Activepiecesのセルフホストは、DockerとDocker Composeが使えれば進められる。
必要なもの:
- Docker + Docker Compose
- 最低1GB RAM(推奨2GB以上)
- PostgreSQL用のディスク容量(数百MB)
n8nと違うのは、Activepiecesは PostgreSQL + Redis の2つのデータベースが必要な点。n8nはSQLiteでも動くのでシンプルだった。このあたりで「あ、少し重いな」と感じた。
docker-compose.yml の基本構成:
version: '3'
services:
activepieces:
image: activepieces/activepieces:latest
ports:
- "8080:80"
environment:
- AP_POSTGRES_DATABASE=activepieces
- AP_POSTGRES_HOST=postgres
- AP_POSTGRES_USERNAME=activepieces
- AP_POSTGRES_PASSWORD=yourpassword
- AP_REDIS_URL=redis://redis:6379
depends_on:
- postgres
- redis
postgres:
image: postgres:14
environment:
- POSTGRES_DB=activepieces
- POSTGRES_USER=activepieces
- POSTGRES_PASSWORD=yourpassword
redis:
image: redis:7
docker-compose up -d で起動すると、http://localhost:8080 でアクセスできる。
ただ、ここで詰まった。
初回起動時にRedisの接続エラーが出た。AP_REDIS_URL の書き方が少し違っていて、ログを見ながら30分ほど格闘した。このあたりは日本語ドキュメントが皆無なので、英語の公式ドキュメントを読むしかない。n8nのセルフホストのほうが日本語情報が充実していた(参考:n8nのセルフホスト手順)。
n8nの初期セットアップが30分だとしたら、Activepiecesは環境によっては1時間以上かかるかもしれない。
最初のワークフローを作ってみた
セットアップが完了したらダッシュボードに入る。
最初に触った印象は「縦型で見やすい」だった。n8nはキャンバス型で、ノードを横方向につなげていく。慣れると直感的なんだけど、初見だと「どこから始めればいいんだ」ってなる。Activepiecesはステップを上から順番に積み上げる縦型ビルダー。
で、Gmail通知のワークフローを試作した。
Gmailで特定の差出人からメールが来たらSlackに通知する、という単純なもの。
- トリガー:Gmail(新着メール受信)
- フィルター:差出人が指定のアドレスかチェック
- アクション:Slackチャンネルに通知
これ、n8nだと3ノードで組む。Activepiecesも同じで、3ステップで組めた。所要時間は20分くらい。
n8nよりも設定項目が少ない分、迷わなかった。ただ、カスタマイズの自由度もその分低い。n8nだと「この条件の場合はAに、そうでない場合はBに分岐して、さらにエラー時はCに」みたいな複雑な処理ができる。Activepiecesは標準的な分岐はできるけど、複雑になると限界を感じる場面がありそうだった。
UIを触って感じたこと
UIはActivepiecesのほうが洗練されている。シンプルで、どのボタンを押せばいいか迷わない。
ただ、n8nに慣れている人間からすると「物足りない」と感じる箇所もある。
統合数がn8nの400以上に対してActivepiecesは200以上。つまり、使いたいサービスが対応していない可能性がある。僕の場合、Notionとの連携を試みたら対応していたけど、一部のマイナーなサービスは未対応だった。

あと、デバッグ機能がn8nより薄い。n8nだとフロー実行のログが細かく見られて、どのノードで何が起きたかを追跡しやすい。Activepiecesはログ表示がシンプルなぶん、エラーの原因を特定しにくい場面があった。
まあ、シンプルなワークフローを動かすだけなら問題ない。複雑な処理を組みたい場合はn8nのほうが向いている。
Activepiecesが向いているケース・向いていないケース
向いているケース:
- プログラミングやDockerにまだ慣れていない段階でセルフホストを試したい
- 商用サービスを構築したい(MITライセンスなので制限なし)
- シンプルな通知・転記・フォーム処理を自動化したい
- n8nの複雑さに疲れてシンプルなツールを探している
- 非エンジニアのチームメンバーに自動化を触らせたい
向いていないケース:
- 複雑な条件分岐・エラーハンドリングが必要な本格的な自動化
- 統合数の多さで選んでいる場合(n8nのほうが上)
- すでにn8nが安定稼働している場合(乗り換えコストに見合うかどうか)
- 日本語ドキュメントを頼りに進めたい場合
n8nとActivepiecesの詳細な比較は別記事に書いた(Activepieces vs n8n 比較)。
Activepiecesのクラウド版はどうか
セルフホストの話ばかり書いてきたが、クラウド版も存在する。
クラウド版の無料プランは月1,000タスクと200 AIクレジット。n8nのクラウド版は無料プランがなくセルフホストのコミュニティ版のみなので、この点ではActivepiecesのほうが試しやすい。
ただ、クラウド版は今回のテーマ(セルフホスト自動化ツール)から外れるので詳しくは書かない。「まず動かしてみたい」という人はクラウド版から始めて、必要に応じてセルフホストに移行する流れもありだと思う。
n8nに比べてドキュメントが少ない問題
使ってみて一番困ったのは、日本語情報がほぼないことだ。
n8nは日本語のブログ・Qiita記事・YouTubeが一定数ある。Activepiecesは英語の公式ドキュメントと海外フォーラムくらいしか頼れない。
エラーが出たとき、n8nなら「n8n [エラーメッセージ] 解決方法」で日本語記事が出てくることが多い。Activepiecesは英語でしか調べられない。英語でIT系の情報を調べることに抵抗がなければ問題ないが、そうでない場合はハードルになる。
これが、今の段階でActivepiecesを初心者に強くは勧めにくい理由の一つだ。ツール自体のUIはシンプルでも、問題が起きたときに頼れる情報が少ない。
まとめ:n8nを捨てるつもりはないが、選択肢として持っておく価値はある

Activepiecesをセルフホストして1週間試した感想を一言で言うと、「n8nよりも入りやすい、でもn8nほど深くない」。
n8nを使い始める前の自分だったら、Activepiecesから入ったかもしれない。キャンバス型のn8nに最初は戸惑ったし、セルフホストの設定もActivepiecesのほうがわかりやすい部分がある(Redisの接続エラーは別として)。
ただ、今の僕にとってはn8nで十分で、Activepiecesに乗り換えるメリットがない。MITライセンスが必要な商用プロジェクトを始めるとか、新しいチームメンバーに自動化を触ってもらうとか、そういう場面では候補に入れると思う。
日本語ドキュメントが少ないのが現状の最大の課題。英語で調べられる環境があれば問題ないが、そうでない場合はn8nやMakeのほうが情報量でかなり有利だ。
合わせて読みたい
– n8nのセルフホスト手順
– Activepieces vs n8n:どちらを選ぶか


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