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Makeを使い始めるとき、最初にぶつかる壁は「シナリオとモジュールって何が違うの?」という概念の混乱だと思う。
この記事では、Make(旧Integromat)の使い方を日本語で解説する。アカウント登録から最初のシナリオが動くまでの手順と、初心者がつまずきやすいポイントをまとめた。n8nと迷っている人向けに、両ツールの違いも簡単に触れる。
この記事でわかること:
– Make特有の用語(シナリオ・モジュール・オペレーション)の意味
– アカウント登録から初回シナリオ作成・テスト実行までの手順
– 無料プランで何ができるか(月1,000オペレーションの現実)

Make(旧Integromat)は何ができるツールで、n8nとどう違うのか
Makeは、複数のWebサービスを「こうなったら、こうする」という形で連携・自動化するノーコードツールだ。
たとえば「Gmailで特定のメールを受信したら、その内容をSlackの指定チャンネルに送る」というフローを、プログラミングなしで作れる。こういった自動化を組んだひとまとまりの処理を、Makeではシナリオと呼ぶ。
同じカテゴリのツールにn8nがある。正直、機能的にはかなり近い。ただ設計思想に違いがあって、MakeはUIが視覚的で直感的、n8nはコードを書くことも想定したローコード寄りの作り。エンジニアじゃない人がとっつきやすいのはMakeだと思う。
実際、僕は最初にn8nを試した。日本語の情報が少なくて、セルフホストの設定でつまずいて1週間でギブアップした。そのあとMakeに切り替えたら、同じシナリオを3時間で作れた。それがMakeを使い続けている理由のひとつ。
詳しい比較が気になる人は「n8n vs Make:機能・料金・難易度を比較してどちらを選ぶか判断する」も読んでほしい。
シナリオ・モジュール・オペレーションの3つを先に理解する
Make独自の用語が3つある。最初にここを押さえておかないと、使いながら混乱する。
シナリオ(Scenario):自動化のひとまとまりのフロー全体。「Gmailを受信したらSlackに通知する」という一連の処理が1つのシナリオ。
モジュール(Module):シナリオを構成する各ステップのこと。「Gmailで受信」「Slackに送信」がそれぞれ1つのモジュール。シナリオはモジュールの連なりで出来ている。
オペレーション(Operation):モジュールが1回動くたびに消費されるカウント。無料プランでは月1,000オペレーションまで。10ステップのシナリオが1回動くと10オペレーション消費する、という計算。
この3つの関係性をイメージできれば、あとは画面に沿って操作するだけで進められる。
無料プランでどこまでできるか
月1,000オペレーションというのは、意外と少ない。
10ステップのシナリオを1日10回動かしたとすると、1日で100オペレーション消費。1ヶ月で3,000オペレーション。余裕で無料枠を超える。
まあ、最初の1〜2週間のテスト期間と、シンプルなシナリオ(3〜5ステップ程度)の運用を組み合わせれば、無料でも十分に入門できる。「まず試してみる」という目的なら問題ない。本番運用が増えてきたタイミングでCoreプラン($9/月〜)を検討するのが現実的なルートだと思っている。
アカウント登録から最初の画面まで:つまずきポイントを先に潰す
Make.comの公式サイト(make.com)にアクセスして「Get started free」から登録できる。Googleアカウントでのサインインが一番手早い。
登録自体は5分もあれば終わる。ただ、その後の初期設定でいくつか迷いやすいポイントがあるので先に整理しておく。
連携(Connection)の管理について
Makeはモジュールを追加するたびに、該当サービスとの認証(Connection)を作る必要がある。たとえばGmailとSlackを使うシナリオなら、それぞれのConnectionを個別に登録する。
一度登録したConnectionは「Connections」メニューで一覧管理できる。同じGmailアカウントを複数のシナリオで使う場合は、最初に登録したConnectionを使い回せるので再認証は不要だ。
テンプレートの活用
「Templates」メニューには世界中のMakeユーザーが作った既製シナリオが数千本以上ある。最初から全部自分で作らなくていい。検索バーに「Gmail Slack」などと入れると関連テンプレートが表示される。テンプレートをベースに改造する方が、ゼロから作るより学習コストが低い。
ただ、テンプレートには古いもの・動かないものも混在している。「Last updated」の日付を確認して、比較的最近更新されているものを選ぶのがコツだ。
登録が完了するとダッシュボードに移動する。画面左のサイドバーに「Scenarios」「Connections」「Templates」などのメニューが並んでいる。この時点でUIが英語混じりになっていることに気づくかもしれないが、これは仕様。2026年4月時点では、日本語UIが完全に対応しているわけではなく、メニューや設定項目に英語が混在している。
登録時に迷う「Team」か「Individual」の選択
登録フロー中に「どういう利用目的か」を聞かれる画面が出てくる。「Team」か「Individual」か、あるいは「Business」かという選択だ。ここで迷う人が多い。
結論からいうと、個人・フリーランスなら「Individual」でいい。後から変更できるし、機能の制限はない。
初回シナリオを作る手順:GmailとSlackを連携させる例
「Gmailで受信したメールをSlackの指定チャンネルに通知する」という初歩的なシナリオを例に手順を説明する。
まず左サイドバーの「Scenarios」をクリックして「Create a new scenario」を押す。シナリオ作成画面(キャンバス)が開く。
中央に「+」マークのサークルが表示される。これが最初のモジュール追加のトリガー。クリックするとアプリ検索画面が出てくる。
モジュールを追加してトリガーを設定する
まずGmailを選択する。検索バーに「Gmail」と入れれば出てくる。次に「どういうイベントをトリガーにするか」を選ぶ画面になる。今回は「Watch emails(新しいメールを監視)」を選択。
Gmailとの接続認証が求められる。「Add」→Googleアカウントを選択→権限を許可、という流れ。ここで一度ブラウザが別タブに飛んで認証を完了させてから戻る必要がある。
認証が通ったら設定画面に戻り、監視するラベル・フォルダ(例:受信トレイ)と、最大何件取得するかを設定する。最初は2〜3件に絞っておくのが無難。多く設定するとテスト時にオペレーションを大量消費する。
次のモジュールはSlack。シナリオ画面でGmailモジュールの右に「+」が出るのでクリックし、Slackを検索して「Create a Message(メッセージ作成)」を選択。同じく認証を通して、投稿先のチャンネルとメッセージ内容を設定する。メッセージ内容はGmailから渡ってくるデータ(件名・本文)をマッピングできる。
フィルターと条件分岐を使ってみる
このシナリオに「特定の件名を含むメールだけ通知する」という条件を追加したい場合は、2つのモジュールの間に「フィルター」を設定できる。
GmailモジュールとSlackモジュールを繋ぐ線をクリックし、「Add a filter」を押す。条件(例:件名に「重要」を含む)を設定すると、その条件を満たさないメールはSlackには通知されない。
この機能を覚えると、シナリオの実用性がぐっと上がる。
テスト実行でエラーが出たときの読み方
シナリオ画面下部の「Run once」ボタンを押すとテスト実行ができる。ここで最初につまずいた経験がある。
テスト実行のたびにオペレーションが消費される。10ステップのシナリオを5回テストすると50オペレーション消費。無料プランの1,000オペレーションは、テストを繰り返す間に思ったより早く減っていく。
エラーが出た場合、シナリオ画面の下部に赤いバッジが表示される。クリックするとエラー詳細が見られる。よくあるエラーは以下の3パターン:
- 認証エラー:Gmailなどとの接続が切れている。再認証が必要
- 権限エラー:アプリの承認時にスコープが不足している。接続を削除して再設定
- データマッピングエラー:前のモジュールから期待したデータが渡ってきていない。「Run once」でどのデータが流れてくるかを確認してからマッピングをやり直す

シナリオが正常に動いたら、画面右上のスイッチを「ON」にして自動実行を有効化する。ここを忘れると「なぜシナリオが動かないのか」で迷うことになる。実際にそれで30分悩んだことがある。
Makeのスケジュール実行と間隔の設定
シナリオを自動実行するには、スケジュール設定が必要になる。画面下部のクロックアイコンをクリックすると、実行間隔を設定できる。
無料プランでは最短15分間隔での実行が基本。有料プランになると最短1分間隔での実行が可能になる。
「15分おきに新しいメールをチェックしてSlackに通知する」という設定にすると、1日96回シナリオが動く。シナリオが2ステップ(GmailとSlack)なら96 × 2 = 192オペレーション/日。1ヶ月で5,760オペレーション。これだと無料プランの1,000オペレーションを3日程度で使い切る計算になる。
現実的な対策は2つある。
対策1:実行間隔を長くする
15分おきを1時間おきにするだけでオペレーション消費は4分の1になる。「通知のリアルタイム性」よりも「コストを抑えること」を優先するなら、1〜2時間間隔で十分な場合も多い。
対策2:フィルターを積極的に使う
トリガーが発動しても、フィルター条件を満たさなければ後続モジュールは動かない。でもトリガーモジュール(Gmailのメール受信チェック)自体は動いているのでオペレーションを消費する。この仕組みを理解しないと「フィルター入れたのになぜオペレーションが減るのか」で混乱する。
これを知らなかった初月、テストシナリオを3つ走らせておいたら2週間で無料枠を消費した。痛い授業料だった。
Makeで使えるアプリ・連携できるサービス
Makeは2026年4月時点で3,000以上のアプリと連携できる。日本でよく使われるサービスでいうと以下のようなものが対応している。
コミュニケーション系
– Slack、Gmail、Outlook、Discord、LINE(一部機能のみ)
ドキュメント・ストレージ系
– Google Drive、Google Sheets、Notion、Airtable、Dropbox
EC・決済系
– Shopify、Stripe、WooCommerce
その他
– GitHub、Webhook(カスタム連携)、HTTP(汎用HTTPリクエスト)
日本のサービス(freee、kintone、Chatworkなど)については、直接の公式コネクタがないものもある。ただしHTTPモジュールを使えばAPIが公開されているサービスなら連携可能だ。そこは少し技術的な知識が必要になるが、APIドキュメントを読む習慣がある人なら問題ない。
連携できるサービスの全リストはMake公式サイトで確認できる(英語ページ)。
Makeを使ってみて正直感じたこと:向いている人と向いていない人
Makeに向いているのは、エンジニアではないけど業務の自動化をとにかく試してみたい人だと思う。UIが直感的で、失敗しながらでも試行錯誤できる。日本語の記事も他のノーコードツールと比べれば増えてきた。
ただ、向いていない人もいる。
技術的なカスタマイズをしたい人には少し物足りないかもしれない。n8nのようにコードを直接書いて処理を組み込む柔軟性はMakeにはない(「Tools」モジュールで簡単な処理はできるが限界がある)。
処理量が多い人にも注意が必要だ。オペレーション単位の課金なので、シナリオのステップ数 × 実行頻度が増えると費用が急増する。月に数万オペレーションが必要な運用になると、コストが見えにくくなる。
まあ、最初は無料プランで試して、実際の運用量に合わせてプランを考えるのが一番いい。

Makeの料金プランを選ぶ基準:いつ有料にすべきか
2026年4月時点のMakeの料金体系を整理する(為替変動があるため円換算は参考値)。
| プラン | 月額 | オペレーション | 主な追加機能 |
|---|---|---|---|
| 無料 | $0 | 1,000/月 | 基本機能のみ |
| Core | $9〜 | 10,000/月〜 | 無制限アクティブシナリオ、スケジュール機能 |
| Pro | $16〜 | 10,000/月〜 | 優先実行、カスタム変数、実行ログ検索 |
| Teams | $29〜 | 10,000/月〜 | チーム管理、テンプレート共有 |
※オペレーション数は購入量によって単価が変わる(多く買うほど安くなる)。
有料プランに移行すべきタイミングは、「無料の1,000オペレーション/月では本番運用が回らなくなってきた」と感じたとき。テスト段階では無料で十分だが、実務で3〜5本のシナリオを動かし始めると足りなくなってくる。
Coreプランの$9/月は、月10,000オペレーションが使えて、個人・フリーランスの用途なら十分なケースが多い。Proプランの追加機能(実行ログの検索・カスタム変数)は、シナリオが複雑になってから検討する形でいい。
ちなみに、処理量が大きくなるほどn8nのコストメリットが出てくる。月に数万オペレーションが必要になるなら、n8nのセルフホストか、n8nクラウドとのコスト比較をするのがおすすめだ。
Makeでよく使うシナリオのパターン
初心者がまず試しやすい自動化パターンをまとめておく。
パターン1:通知系
– Gmailの特定メールをSlackに転送
– Google Sheetsに新しい行が追加されたらDiscordに通知
– フォーム(Googleフォームなど)の回答をメールで受け取る
パターン2:データ収集・保存系
– 特定のRSSフィードの新着記事をスプレッドシートに蓄積
– TwitterのメンションをNotionのデータベースに記録
– WooCommerceの注文情報をAirtableに自動追加
パターン3:ファイル操作系
– Gmailの添付ファイルをGoogle Driveの指定フォルダに自動保存
– Dropboxに追加されたファイルをSlackに共有
これらはどれも無料プランの範囲内でテストできる。まず自分の業務に近いパターンから試して、「こういうことができるんだ」という感覚を掴んでから複雑なシナリオに挑戦するのが遠回りのようで一番早い。
Makeを使う前に知っておくべきこと:制限と注意点
正直に書いておきたい点がある。
日本語UIの不完全さ:設定画面やエラーメッセージが英語のままの箇所がある。ツールの使い方自体は直感的だが、エラーが出たときに英語で読み解く必要がある場面がある。英語アレルギーが強い人には少しストレスかもしれない。
サポートが英語:公式のヘルプドキュメントは英語中心。日本語のコミュニティフォーラムは存在するが規模は小さい。問題が起きたときに頼れるリソースが英語中心になるのは頭に入れておくべきだ。
シナリオのエラー通知は後追い:シナリオが途中で失敗しても、リアルタイムで通知が来るわけではない(設定すれば来る)。本番で使い始めたら、エラー通知のメールかSlack通知を設定しておかないと気づかないまま処理が止まっている、という事態になりやすい。
これらを踏まえた上でも、「プログラミングなしで業務を自動化してみたい」という入り口としてはMakeは十分使えるツールだ。
まとめ:最初のシナリオが動いたら次にやること
Make(旧Integromat)の使い方をまとめると:
- シナリオ:自動化フロー全体
- モジュール:各ステップ
- オペレーション:モジュールの1回の実行(無料は月1,000まで)
最初のシナリオが動いたら、次はテンプレートを見てみるのがおすすめ。「Templates」からカテゴリ別に既製のシナリオが探せる。自分でゼロから作るより、既存テンプレートを改造する方が習熟が早い。
Makeのシナリオ作成に慣れてきたら、n8nとどちらが自分に向いているかを改めて比較してみるといい。自分の処理量・技術スキル・コスト感覚によって答えは変わるので、一概にどちらが優れているとは言えない。ただ、「まずノーコードでサクッと試したい」という出発点ならMakeから始めるのは正解だと思っている。
最初のシナリオが動いた瞬間は、地味に嬉しい。「自分でも自動化できるんだ」という感覚が掴めたら、あとは応用するだけだ。
合わせて読みたい
– n8n の使い方入門:インストールから最初のワークフロー作成まで図解


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