freeeを入れたのは、フリーランスになって3ヶ月後だった。そろそろ確定申告の準備をしないといけないと焦りはじめて、「クラウド会計ソフトはが有名らしい」という理由だけでアカウントを作った。
会計の知識はほぼゼロ。簿記の資格も税務の経験もない。Webマーケターとして仕事はしているが、お金の管理は開業届を出した日に通帳を1冊用意しただけという状態だった。
そこからfreeeの初期設定を始めたのだが、3か所で詰まった。詰まった時間の合計は2時間以上。「設定するだけなのに、なぜこんなに時間がかかるんだ」と思いながらSlackで同期のフリーランスに聞いたりGoogleで調べたりした。
結局それぞれ解決できたが、「最初からこれを知っていれば20分で終わっていた」という情報が散らばりすぎていて見つけにくかった。
同じ場所で詰まっている人に向けて、正直に書く。
freeeを開いて最初に感じた違和感
freeeの初期設定ウィザードは、見た目はシンプルで親切に見える。「事業情報を入力してください」「口座を追加してください」「開始残高を設定してください」というフローが画面に表示される。
ただ、それぞれの設定項目の意味がわからなかった。「課税区分は?」「事業の種類は?」「開始日は?」という問いに対して、「正しい答えを入れなきゃいけないが、何が正しいのかわからない」というプレッシャーがあった。
間違えたら後から直すのが大変なのか、入れ直せば問題ないのか、そこすら最初はわからない。公式ヘルプを読んでも、「設定してください」という説明はあるが「なぜそう設定するのか」の説明が少ない。
会計知識がある人なら「なんでわからないの」という設定ばかりかもしれない。でも、Webマーケターとして仕事をしていても、日々の業務の中で「消費税の課税区分」や「開始残高の意味」を考える機会はゼロに近い。フリーランスになったタイミングで初めて真剣に向き合うことになった。
freeeを導入しようとしているフリーランス1年目の人に、3つのポイントを事前に知ってもらいたい。
つまづいた場所①:口座連携が「対応していない」と出た
まず最初に詰まったのが口座連携だった。
僕はゆうちょ銀行の口座を個人口座として使っていて、独立後もそのまま事業用として使い続けていた。freeeで「口座を追加する」から「ゆうちょ銀行」を検索して設定しようとしたら、エラーメッセージが表示された。
しばらくの間、「ゆうちょがfreeeに対応していない」と思い込んでいた。
API連携とスクレイピング連携の違いを知らなかった
調べてわかったのは、freeeの口座連携には2種類の方式があるということだった。
スクレイピング連携はインターネットバンキングのIDとパスワードをfreeeに預ける方式。freeeが自動でログインして取引データを取ってくる。
API連携は銀行がfreeeに直接データを提供する方式。ユーザーはIDもパスワードも渡さない。銀行のアプリ上で「freeeにデータ提供を許可する」という操作をするだけで連携が完了する。
ゆうちょ銀行は2020年からAPI連携に対応している。スクレイピング連携のUI(IDとパスワードを入力するフォーム)でアクセスしようとするとエラーが出る。API連携専用のページから設定する必要があった。
freeeのUI上でこの2方式の違いが直感的にわかるようになっていれば詰まらなかったと思う。「ゆうちょ銀行」で検索するとスクレイピング連携のフォームが出てきて、そこからエラーが出るという動線になっていた。
対処法:連携方式を確認してから登録する
解決策はシンプルだった。「ゆうちょ銀行 freee 連携」で検索し、freee公式ヘルプの「API連携対象口座一覧」を確認する。ゆうちょ銀行がAPI連携対応と書いてあるので、API連携の手順に従って設定する。
銀行アプリで「外部サービスとの連携」を許可して、freeeに戻ると自動で連携が完了した。
詰まった時間:30分。本来かかるべき時間:5分。
ちなみに、主要なネット銀行(楽天銀行・GMOあおぞら・住信SBIなど)はほとんどAPI連携に対応しており、こちらの方がパスワード管理の手間もなく安全だ。開業前に「事業用口座をどこにするか」を迷っている人は、API連携対応かどうかを判断基準の一つに加えてもいいかもしれない。メガバンクも三菱UFJ・三井住友・みずほいずれもAPI連携対応済みだ。
つまづいた場所②:事業情報の「課税方式」を何にすればいいかわからなかった
次に詰まったのが、事業所の設定画面だった。
「消費税の申告」という項目があり、「課税事業者として申告する」か「免税事業者として申告しない」を選ぶ必要があった。
フリーランスになりたての人間には、これが何を意味するのかわからない。「課税事業者と免税事業者の違いは?」「どっちを選べばいい?」と1時間近く調べてしまった。
免税事業者なのに「課税」を選びそうになった
調べてわかったことは以下の通りだ。
個人事業主の場合、開業した年は基本的に免税事業者になる(前々年の課税売上が1,000万円以下の場合)。フリーランス1年目で売上1,000万円を超えることはまずないので、ほぼ全員が開業初年度は免税事業者になる。
ただし、インボイス登録事業者になっている場合は課税事業者になる。
この判断は「開業届の控え」を見れば一発で確認できる。消費税の課税事業者になる場合は別途「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に出す必要があり、そういう手続きをした記憶がなければ免税事業者だ。
1時間調べて「開業届を見ればよかっただけ」という結論に落ち着いた。
誤って課税事業者に設定した場合、消費税の申告義務が生じる。フリーランス1年目でこれをやってしまうと、余計な申告業務が発生する可能性がある。税務上の判断は税理士や税務署に確認することをすすめるが、開業届の内容を確認するだけで大半の人は判断できる。
対処法:開業届の控えを手元に置いてから設定する
freeeの初期設定を始める前に、以下の書類を手元に用意しておくと詰まらない。
- 開業届の控え(課税区分の確認用)
- マイナンバーカードまたは番号通知カード
- 事業用口座の通帳やキャッシュカード(口座番号・金融機関コードの確認用)
消費税の課税方式については「税務の判断は税理士への相談をお勧めします」と書くべきではあるが、フリーランス1年目・売上1,000万円以下・インボイス未登録という典型的なケースであれば免税事業者でよい。迷うなら税理士か税務署の相談窓口に聞くのが確実だ。
詰まった時間:1時間。本来かかるべき時間:5分。
つまづいた場所③:開始残高の設定タイミングを間違えた
これが一番後悔したミスだった。
口座を連携した後、freeeは「開始残高を設定してください」という画面を出す。「開始残高」とは、freeeでの会計を始める時点での銀行口座の残高・手元現金・未払い金などのことだ。
僕はこれを「後でいいか」と思ってスキップした。
「後でいいか」が後悔につながる
口座連携した翌日から、freeeは自動で取引データを取り込み始める。入金・出金の記録が積み重なっていく。
3ヶ月後に「そういえば開始残高を設定していなかった」と思い出して設定しようとしたら、すでに取引データが大量に入っている状態だった。
開始残高を後から設定すること自体は可能なのだが、「どの残高を開始残高として設定するか」の判断が複雑になっていた。口座連携した時点の残高なのか、期首の残高なのか、誤差はどう処理するのか。freeeのヘルプを読みながら半日かかって対処した。
会計の知識がある人なら10分で終わる作業だったが、知識ゼロだと時間がかかる。
開始残高を後から設定する場合、「設定」→「開始残高の編集」から修正は可能だ。ただし、すでに記録されている取引データとの整合性を保つために、修正後に残高の確認作業が必要になる。口座連携した直後に設定すれば、取引データがまだない状態なのでシンプルに終わる。
対処法:口座登録と同じ日に開始残高まで設定する
口座を登録したら、その日のうちに開始残高の設定まで完了させる。
freeeの「設定」→「開始残高」から入力できる。口座残高欄には、freeeの使用を開始した日付時点での残高を入力する。通帳を手元に置いてその日の残高を確認するだけで終わる。
後回しにした場合、取引データが積み重なるほど「どの残高が正しいのか」が複雑になる。会計ソフトは「最初の設定が正確かどうか」がその後の入力精度に影響する。設定画面が出たらその場で入力するのを強くすすめる。
詰まった時間:半日。本来かかるべき時間:10分。
freeeの初期設定、正直やり直しが一番つらい
3つの詰まりポイントの共通点がある。「後から直す方が大変になる設定」ということだ。
freeeは一度設定を入れてしまうと、後から変更すると他のデータとの整合性が崩れることがある。開始残高を設定しないまま取引データを積み重ねてしまうと、後から辻褄を合わせるのが面倒になる。課税方式を誤って設定すると、後から修正しても過去の消費税の記録に影響が出る。
「とりあえずウィザードを進めて、後から直そう」という発想が一番リスクが高い。
これはfreeeに限らないと思うが、会計ソフトは「最初の設定を正確に入れることがその後の楽さにつながる」という設計になっている。公式ヘルプには「後から変更できます」と書いてあるが、変更できることと、変更が簡単なことは別の話だった。
逆に言えば、最初の設定を正確に入れられれば、後の日々の入力作業はかなり楽になる。freeeの自動仕訳機能(連携した口座の取引を自動で勘定科目に分類してくれる)は精度が高く、慣れてくると月次の入力が30分以内で終わるようになった。最初の2時間の詰まりはあったが、長い目で見ればfreeeを入れた判断は正解だったと思っている。
まとめ:3点さえ抑えればfreeeは使い続けられる
詰まった場所は3つだが、それぞれ事前に知っていれば詰まらなかった内容だ。
ポイント①:口座連携の方式
主要銀行はAPI連携に移行済み。「銀行名 freee API連携」で検索して確認してから設定する。スクレイピング連携のフォームでエラーが出た場合、API連携専用の設定ページを探すと解決することが多い。
ポイント②:事業情報の課税方式
フリーランス1年目・売上1,000万円以下・インボイス未登録なら免税事業者。開業届の控えを手元に置いてから設定する。迷った場合は税務署の相談窓口か税理士に確認するのが確実だ。
ポイント③:開始残高
口座登録と同じ日に必ず設定する。通帳を手元に置いて残高を確認しながら入力するだけで終わる。後回しにしない。
freeeの操作自体は慣れれば難しくない。日々の入力も比較的楽で、確定申告書類の自動生成は便利だった。つまずいた原因は会計知識の不足と、設定タイミングのミスであって、ツールの使いにくさではなかった。
個人的にはスタンダードプラン(月2,980円・年払いなら月1,980円)を使っている。青色申告65万円控除を使うにはスタンダード以上が必要で、フリーランスならスタンダードにした方が節税効果の方が大きい。最安のスタータープラン(月1,780円・年払いなら月980円)は白色申告のみ対応で、65万円控除を受けたい場合は使えない。料金の詳細は2026年4月時点の情報なので、最新情報はfreee会計の個人事業主向け料金プランページで確認してほしい。
初めて使う場合は30日間の無料試用期間があるので、まず試してみるのがいい。設定に詰まったらこの記事を参考にしてほしい。3つのポイントを押さえれば、最初の設定は20〜30分で終わるはずだ。
freeeの確定申告の大まかな流れについてはfreee公式ナレッジ「確定申告の大まかな流れ」でも確認できる。
freeeを使い始めて1年、確定申告を1回終えた今思うのは「最初の詰まりさえなければ、もっと早く入れればよかった」ということだ。月次の帳簿管理・確定申告書類の自動生成・請求書の作成まで一気通貫でできるのは、フリーランス1人で経理をやる上でかなりの助けになった。
No.92では確定申告そのものの操作と、実際にやってみて「失敗したこと・よかったこと」を書いている。初期設定を終えたら次はこちらを参考にしてほしい。

コメント