ObsidianをAIに食わせる前の置き場にした:リサーチ素材を一次情報のまま貯める方法

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「Obsidianって何のために使うの?」と半年前に聞かれたら、うまく答えられなかったと思う。

インストールはした。ノートも作った。でも結局、NotionやGoogleドキュメントとの使い分けが曖昧なまま放置していた。使い方を調べるとプラグインの話とかフォルダ構造の話ばかりで、「で、何をするの?」がわからなかった。

変わったのは、AIに素材を渡すときの「問題」に気づいてからだ。

この記事でわかること:

  • なぜAIにリサーチ素材を渡すときに問題が起きるのか
  • Obsidianを「AIへの入力前プール」として使う発想とその効果
  • Obsidian → Claude/Perplexityへの実際の渡し方
  • この使い方に変えてから業務の何が変わったか

操作方法の話はしない。それはすでに別の記事に書いた(ObsidianをフリーランスのAI時代の知識管理に使い始めた)。今回書くのは「Obsidianで何をするか」という目的の話だ。

obsidian knowledge management workflow
Photo by Vitaly Gariev on Unsplash

AIにリサーチ素材を食わせるとき、何が問題だったか

コピペした瞬間に「一次情報感」が失われる

記事を書くとき、僕は事前にリサーチをする。公式ドキュメントを読んで、競合記事を3〜5本確認して、ユーザーの口コミをいくつか拾う。

で、それをClaudeに渡すときに何をしていたか。Googleドキュメントに貼り付けたものを、またコピーしてClaudeのチャット欄に貼り付ける、という手順だった。

これが、じわじわ問題だと気づき始めた。

コピペするたびに情報が「加工」される。URLを貼ると自動でタイトルだけになる。複数の記事をまとめようとすると、自分でサマリーを書き始めてしまう。その時点でもう「一次情報」ではなくなっている。自分のフィルターが入った「要約」をAIに渡しているわけで、AIが判断できる素材の質が下がる。

正直、最初はそこまで考えていなかった。問題に気づいたのは、ClaudeにURLをそのままペーストしたときの出力と、自分でまとめた要約をペーストしたときの出力を比べたときだ。前者のほうが明らかに精度が高かった。

AIには「整理されていない生の情報」を渡したほうがいい、という結論に至った。

NotionやGoogleドキュメントだと管理しすぎになる

問題はもう一つあった。素材を「整理しよう」とした瞬間に、整理作業が発生することだ。

Notionだと、ページを作って、プロパティを設定して、タグを付けて…という作業が自然に発生する。Notionがそういう設計になっているから仕方ないんだけど、リサーチ段階でそれをやると時間がかかりすぎる。「整理している時間のほうが長い」という本末転倒な状態になっていた。

Googleドキュメントはその逆で、整理しようとしても構造を作りにくく、結局1つのドキュメントに全部の素材が連なった巨大な「リサーチメモ.doc」が爆誕する。3ヶ月続けたら200行になって、自分でも何が書いてあるかわからなくなった。

「整理するツール」でも「放り込むだけのツール」でもない、中間の存在が必要だと感じていた。

Obsidianを「AIへの入力前プール」として使う発想

整理しない・タグだけつける・捨てやすくする

Obsidianに辿り着いたのは、「Markdownファイルとしてローカルに保存される」という特性がポイントだった。

Notionのようなデータベースではないので、整理の誘惑が少ない。Googleドキュメントと違って1ファイル=1トピックという構造が自然に生まれる。そして、Markdownをそのままコピーしてクリップボードに貼れるので、AIに渡すときの手順が短くなる。

今の運用はこうだ。

  • リサーチで見つけた記事のURLと本文の要点を、1ファイル1トピックでObsidianに貼る
  • タグは「#research」「#obsidian」「#tool-review」など5〜6種類しか使わない
  • フォルダは「リサーチ素材」と「アーカイブ」の2つだけ
  • 整理はしない。検索すれば出てくるので、見つけられれば十分

「汚くていい」という安心感が、貯め込む行動のハードルを下げた。NotionやGoogleドキュメントだと「ちゃんと整理してから」という心理的ブレーキがかかっていたけど、Obsidianでは「とりあえず貼っておく」ができるようになった。

実際にどんな素材を何のために貯めているか

具体的に言うと、こういうものをObsidianに貯めている。

  • 公式ドキュメントの該当ページの本文全体(URLだけだと後でページが変わるリスクがある)
  • 競合記事の見出し構成と主要な主張(全文は貼らない。要点だけ)
  • ユーザーの口コミ・SNS投稿のスクリーンショット(画像ではなくテキストとして残す)
  • 自分が使ったときの生メモ(「ここで詰まった」「この機能は使えなかった」など)

月10〜15本の記事を書いていると、1記事あたり5〜8本のURL素材が必要になる。月60〜100件くらいのリサーチノートが生まれる計算だ。これをObsidianに全部貯めておくと、1〜2ヶ月後に「そういえばあのツールのレビューどこかで見たな」という場面で検索して出てくるようになった。

なぜObsidianなのか:他のツールと何が違うか

「Markdownファイルだったら他のエディタでもよくない?」と自分でも思ったので、試したツールをまとめておく。

ツール 試した期間 問題点
Googleドキュメント 3ヶ月 1ファイルに全部入れると巨大化。検索はできるがファイル管理が難しい
Notion 2ヶ月 整理の誘惑が強すぎる。プロパティ設定・タグ付けが自動的に発生する
VSCode 1週間 技術者向け。起動が重く、リサーチ素材の貼り付けには向かなかった
Obsidian 現在6ヶ月継続 「汚く使える」設計が合った

Obsidianが合った理由は「整理の誘惑が少ない」という一点に尽きる。ローカルのMarkdownファイルという素朴さが、余計な機能を使わなくて済む状態を作ってくれた。

ただし、Obsidianにも向かないケースはある。

  • チームで共有する場合:Obsidianはローカル保存が基本なので、複数人で同じVaultを参照するにはクラウド同期が必要になる
  • モバイルをメインに使う場合:モバイルアプリはあるが、PCアプリと比べると使いやすさが落ちる
  • 整理されたデータベースが必要な場合:「いつ、どのツールのリサーチをしたか」を一覧で管理したいならNotionのほうが向いている

フリーランスが個人でリサーチ素材を管理するだけなら、Obsidianで十分だ。

Obsidian → Claude/Perplexityへの渡し方の実際

コピペでいい。ファイルごとドラッグするだけ

Obsidianのファイルは普通のMarkdownファイルなので、操作は単純だ。

  • Obsidianで対象ノートを開く
  • 全選択してコピー
  • ClaudeやPerplexityのチャット欄に貼り付ける

以上。

Claudeは長いMarkdownテキストをそのまま解釈してくれるので、見出し構造もリストも意図通りに理解してくれる。「この素材をベースに記事の構成を考えてくれ」という指示と一緒に渡すだけで、リサーチ内容をかなり活かした提案が返ってくるようになった。

Perplexityに渡す場合は少し違う。PerplexityはWebを参照するので、URLを含むリサーチノートをそのまま渡すと「このURLの情報と現在の情報を合わせて回答する」という動作をしてくれる。これが特に役に立った。

渡す前に「加工しない」ことが重要だった

最初は「渡す前に少し整理してからのほうがいいのでは」と思って、サマリーを作ってから渡していた。でも、それをやめて生のノートをそのまま渡したほうが出力の質が上がった。

理由を考えてみると、「加工=情報の取捨選択」だから、僕が取捨選択した時点でバイアスが入る。AIに渡す前に情報を絞り込むと、AIは残った情報しか使えない。生の状態で渡せば、AIが判断して必要な情報を使ってくれる。

これに気づいてからは「素材はできるだけ生のままObsidianに残す」「加工はAIに任せる」という役割分担に変わった。

claude ai research workflow
Photo by Markus Winkler on Unsplash

この使い方で変わったこと・変わらなかったこと

正直に書く。

変わったこと:

  • 1記事のリサーチから執筆開始までの時間が、45分前後から25〜30分に短縮された
  • 「あの記事どこに貼ったっけ」という探し物の時間がほぼゼロになった
  • Claudeへの指示が短くなった(素材を渡せばコンテキストが揃うので)
  • 2〜3ヶ月前に調べた情報を再利用できるようになった

変わらなかったこと・期待外れだったこと:

  • リサーチ自体の時間は変わらない。情報収集の速度はPerplexityの問題であってObsidianとは無関係
  • Obsidian自体をAIが直接参照する機能(プラグインなし)は使っていない。あくまでコピペ先としての利用
  • タグの管理はやっぱり面倒で、2ヶ月経ってもタグの一貫性が保てていない

「便利ツール」として紹介したいわけではない。Obsidianが解決したのは「AIに渡す前の素材管理」という特定の問題だけで、万能ではない。

まとめ:Obsidianは「完成品を作る場所」じゃなかった

Obsidianを使い始めたとき、「綺麗な知識ベースを作るツール」として使おうとしていた。でもそれをやると整理の手間がかかりすぎて続かなかった。

結局、Obsidianが一番役に立ったのは「AIに食わせる前の汚い素材置き場」としての役割だった。整理しない。タグだけ。捨てやすい。それでいい。

ClaudeやPerplexityに渡す素材は、加工されていない一次情報のほうが品質が上がる。Obsidianはその「加工しない置き場」として機能している。

ObsidianとNotionをどう使い分けるかについてはObsidianとNotionの使い分けに書いたので、役割分担が気になる人はそちらも読んでみてほしい。


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